解離性障害|原因や症状・薬の種類と効果
中でも最も重い症状が解離性同一性障害(多重人格障害)です。
解離性障害の原因や症状、治療法について確認しましょう。
解離性障害とは精神疾患の1つとして分類されているものです。
自分が自分であるという感覚を失ってしまっている状態であったり、ある時の記憶が無くなってしまう、現実感がなくなってしまう、気付いたら知らない場所にいるなど様々な症状が日常生活内で起こってしまい、生活に支障をきたします。
解離には誰にでも起こりうる正常な範囲と障害とみなされ治療が必要になってしまう範囲があります。
不幸や大きな精神的苦痛、限界を超えてしまう感情や苦痛が慢性的になってしまい、成長段階で何らかの事が引き金となり、自身のコントロールを失ってしまい、違った形で苦痛が生じてしまったり、社会生活において支障がでる場合、治療が必要であり、解離性障害と判断されます。
正常な範囲として、辛い経験や不幸に遭うとめまいを起こしたり、気を失うといった事も解離であり、精神的な苦痛を自分から切り離し、自分を守るための防衛本能であるので、慢性的なものではなく、障害とはなりません。
解離性障害の中でも最も重い症状は解離性同一性障害と言われるもので、自分から切り離した記憶や感情が裏で成長してしまい、それが自分の人格のようになってしまい、一時的また長期的に表に現れてしまいます。
目次
解離性障害の原因
解離性障害は心因性の障害であるため、原因が明確になっている訳ではなく、様々な見解があり、統一されてはいません。多因性であると考えられる事が多く、いくつかの要因の相互作用により解離性障害の症状が引き起こされてしまい、一人ひとり原因は異なると考えられています。
解離性障害を発症する人のほとんどに見られるのが幼少期からの強い精神的なストレスを受けていると言われています。
一般的なストレス要因と言われているのが、「学校や兄弟間でのいじめ」「両親の精神的支配が強く、自己表現が出来ない」「ネグレクト」「周囲または家族からの性的・精神的・身体的な虐待」「死別などの辛い体験」などからストレスを受けています。
他には幼少期の体験から精神的な発達が異常に早い場合、幼少期にトラウマになるような体験をしてしまうと、自分から切り離してしまい、その状態のまま成長してしまう事で解離性障害を発症してしまう、あるいは親の愛情や養育が不足してしまう事が原因として考えられていますが、解離性障害自体の情報は少なく、重い症状である解離性同一性障害に関心が向いてしまっているため、明確な事は分かっていません。
解離性障害の症状
解離性障害には様々な症状があり、また症状によっては自分の周囲の人に信用してもらう事が困難な事も多く、詐病として疑われてしまう事もあり、診断も難しいケースがあります。- 解離性健忘
心的なストレスがきっかけとなり、記憶を無くしてしまう症状です。数日の間に記憶が戻ってくる事もありますが、場合によっては長期に及んでしまう事もあります。 - 解離性遁走
自分が誰なのかわからなくなってしまい、失踪して他の場所で新たな生活を始めてしまう症状。突然起こってしまい、それまでの自分の記憶を失ってしまっている事が多いです。 - 解離性昏迷
言葉を交わしたり、身体を動かす事が出来なくなってしまう症状。 - 解離性てんかん
心的な昏睡状態になってしまい、身体を動かしたり、感覚がなくなったり、身体が思うように動かなくなってしまう症状。 - 離人症
自分が自分ではない感覚になってしまい、自分自身を外から眺めているような感覚になる症状。 - カタレプシー
身体が硬くなり、動かなくなってしまう症状。 - 解離性同一性障害
多重人格症とも言われ、複数の人格を持ち、人格が交互に現われ、他の人格の記憶は無いケースが多いです。生活にも支障があり、解離性障害の中でも最も重篤な症状となっています。
他にも様々な症状があり、文化結合症候群という精神障害の症状のほとんど全てが解離性障害の症状と考える事も出来ます。
解離性障害の治療方法
様々な原因があり、症状も多くある解離性障害の治療方法は色々あります。解離性障害に対して有効とされている薬物治療は存在していないので、治療には多くの時間を要します。
また治療の基本は解離性障害を患っている患者の治療環境を整え、安心して治療ができるようにしたり、患者の家族や周囲の人がこの障害に対して十分に理解する事も大切な事となります。
患者と治療に向き合う医師との信頼関係の構築も重要になります。
解離性障害は時間の経過によって治癒するか他の精神疾患などに移行してしまうかのどちらかと言われています。
早い段階で治療することで逆に症状を悪化させてしまう事もありますので、自然経過を見るのも重要な治療の1つとなります。
薬物治療を行う場合には、解離性障害を悪化させてしまっている症状に対して精神安定薬や抗うつ薬などが用いられます。
症状によっては抗不安薬や非定型抗精神病薬あるいは気分安定薬を用いる事もあります。
解離性障害の薬とは
解離性障害の薬に有効性が確認されているものは日本にも海外にもなく、合併する症状に対しての処方となるので、解離性障害には効果はありません。うつ病の症状がひどい場合には、副作用も少なく比較的安全性が高いとされているSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)が用いられるます。
強い不安感がある場合には抗不安薬を用いたりし、現われている症状に対して有効とされている薬を処方します。
衝動を抑える事ができなくなり、依存症に陥りやすいベンゾジアゼピン系の薬の服用は控えて方が良いと考えられています。
傾向として、解離性障害の方は依存症になりやすいので、薬を用いての治療には患者本人も処方する医師にも十分な注意が必要であり、治療計画通りに進めていく事が大切となります。
解離性障害の周囲のサポート方法
解離性障害の方は自分の症状に気付いていないケースが少なくありません。自分の症状を家族や周囲に信じてもらえなかったり、疑われたりしてしまいます。
そういった状態が続いてしまうと本人も家族や周囲の人または他の人を信じる事ができなくなってしまいます。
本人が信用できなくなってしまうと治療にも支障が出たり、困難になる事もあります。
家族や周囲の方は、まず解離性障害について学び、症状や特徴を理解する事がサポートの第一段階になります。
症状が発現するタイミングは分からず、急に現われる事があります。
解離症状を避けるために外出を控えるようになってしまったりするので、社会生活や周囲と疎遠になりがちです。
本人が社会生活などから接点を失わないように、負担にならないようにサポートしてください。
また、解離症状から醒めない場合には【グラウディング】という方法があり、これは五感すべてを使って現実に戻してあげる方法となります。
何度も声をかけたり、手に氷を握らせたり、陽射しを窓から入れることで刺激を与え、現実に引き戻してあげます。
障害に対する十分な理解と信頼関係を築く事を心がけるようにしてください。