【医師監修】女性の薄毛・FAGAの原因とは?手軽にできる対策を紹介
FAGAは女性ホルモンの減少によって、男性ホルモンの働きが強まることが主な原因です。
ただ男性とは違い、その他にもさまざまな原因が重なって発症することもあります。
このページではFAGAの詳しい原因や手軽にできる対策、治療方法などを紹介しています。
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記事の監修医横山 侑祐(あいち栄クリニック院長)
あいち栄クリニック院長。日本皮膚科学会認定専門医として多岐にわたる皮膚疾患・皮膚トラブルを大学病院・総合病院にて診療したのち、「湘南美容クリニック」の院長職を歴任。現在は、美容外科・皮膚科・美容皮膚科の院長として活動している。医学博士。日本皮膚科学会認定専門医。日本臨床皮膚外科学会専門医。
プロフィール:横山 侑祐
公式HP:https://as-cl.com/
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FAGAのメカニズム
毛包(髪をつくる器官)には、髪が成長するために必要な組織や細胞が存在しています。
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毛乳頭
⇨ 血管から運ばれた栄養や酸素をコントロールする組織 -
毛母細胞
⇨ 分裂・増殖することで、髪になる細胞
これらが正常に働くことで、発毛や育毛ができています。
人体には男女問わず男性ホルモン(テストステロン)がありますが、これ単体では毛髪に悪影響を及ぼすことはありません。
しかし、男性では頭頂部や額を主に、女性では頭皮全体に所在する5αリダクターゼ酵素とよばれる酵素によって、テストステロンが変性することで生じる、ジヒドロテストステロン(DHT)になると話が変わります。
FAGAになると、変性した男性ホルモン(DHT)が毛乳頭にマイナスに働きかけることよってヘアサイクルを乱してしまうのです。
そのため、抜け毛や産毛のような軟毛化した髪が増え、全体的に薄毛が広がり地肌が目立つようになります。
FAGAの原因
FAGAの原因は1つだけとは限りません。
さまざまなことが複雑に絡んで、FAGAを発症していることもあります。
加齢による女性ホルモンの減少
女性ホルモンは20代をピークに、30代以降は徐々に減っていきます。
また、40~50代になると分泌量は急激に減り、女性ホルモンより男性ホルモンが優位な状態になります。
そうなると、DHTがヘアサイクルを乱すため、FAGAを発症しやすくなります。
女性ホルモンの分泌量は減ることで男性ホルモンが優位な状態になりますが、一定量は分泌され続けているので、AGA(男性型脱毛症)のようにハゲ上がる(ツルツルの状態)ことはありません。
FAGAを発症する女性は40~50代が多いですが、20代などでも発症する可能性はあります。
遺伝
FAGAは遺伝すると考えられています。
特に両親や祖父母に脱毛症の方がいると、遺伝によってFAGAを引き起こす可能性が高くなります。
ただし、脱毛症の親族がいる方すべてが遺伝によって薄毛になるわけではありません。
また、遺伝については現在も研究段階であり、はっきりとした理由は解明されていません。
生活習慣の乱れによる頭皮環境の悪化
生活習慣が乱れると血行不良や自律神経の乱れから、頭皮環境が悪化しやすくなってしまいます。
食生活では、外食やコンビニ弁当などの脂質や糖質、塩分などが多い食事はできるだけ避け、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。
また、睡眠時間が十分ではない場合は髪の毛の成長が促しにくくなることやストレスが溜まりやすくなります。
頭皮環境が乱れると髪の成長を阻害することにもなり、結果的に薄毛の進行を後押してしまうことになります。
過度なダイエットによる栄養不足
断食や過度な食事規制などのダイエットを行うことで、髪の毛に必要な栄養素が摂取できない状態に陥りやすくなります。
また、過度なダイエットは女性ホルモンのバランスも乱れることから、FAGAを発症させてしまう可能性もあります。
お酒・タバコによるDHTの増加・血行不良
お酒とタバコは健康を害すだけでなく、FAGAの原因にもなります。
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お酒
適量であればまったく問題ありません。
しかし飲み過ぎは「アセトアルデヒド」という成分を分解しきれず、身体に回ってしまいます。
アセトアルデヒドはFAGAの原因になるDHTを増すことから、頻度と量を考える必要があります。 -
タバコ
タバコは、FAGAによって悪くなった頭皮の血流をさらに悪くします。
また最近の研究では喫煙によってDHTが増えることもわかっているので、できることなら禁煙するのが理想的です。
ストレス・疲労による自律神経の乱れ
自律神経が乱れると血管の収縮やホルモンバランスが乱れることがあります。
血管が細くなれば髪に十分な栄養を送ることができず、髪は弱っていきます。
また、ホルモンバランスが乱れると男性ホルモンが女性ホルモンより優位になるため、FAGAの発症・進行を促してしまいます。
また、薄毛になったことがストレスになることもあるため、適度にリフレッシュすることを意識しましょう。
シャンプー・ヘアカラー・パーマによる頭髪へのダメージ
シャンプー・ヘアカラー・パーマのそれぞれが薄毛になる原因として、
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シャンプー
シャンプーのやり過ぎは、頭皮の乾燥や皮脂の過剰な分泌を招きます。
頭皮環境を乱してしまうので、髪の発育を阻害することもあります。 -
ヘアカラー
カラーリングに使用する液剤には、化学薬品や人工着色料を使っていることが多いです。
頭皮にとっては刺激になり、炎症を起こすこともあります。 -
パーマ
パーマもヘアカラーと同じで、液剤には強い成分が使われています。
また髪に塗ってからも一定時間置くことから、毛根へのダメージも懸念されます。
いずれも髪や頭皮の負担になることから、やり過ぎは禁物です。
手軽にできるFAGAの対策
手軽にできるFAGA対策を紹介します。
日常的にできそうな対策から取り入れてみましょう。
十分な睡眠時間を確保する
睡眠時間は6~7時間が理想とされています。
十分に睡眠をとることで、ストレスを軽減や自律神経のバランスを整えてくれます。
また、眠りについてからの3時間は髪の毛の成長を促す、成長ホルモンが最も分泌する時間帯です。
睡眠の質によって頭皮環境や健康面にも効果があることから以下のことを意識してみましょう。
- 理想は22時には眠りにつく
- 夕食は寝る時間の3時間前までに済ます
- ベッドに入ったら考え事やスマホなどの強い光を浴びない
寝つきが悪い方は、枕やマットレスを変えるなどの睡眠環境を整えたりすることも有効的です。
栄養バランスの良い食事を心がける
髪のほとんどはタンパク質であるため、食事では牛や豚、鶏といったお肉や魚を意識して取ることが大切です。
また、タンパク質がスムーズに髪のエネルギーに変わるためには、ビタミンやミネラルなども欠かせません。
肉・魚・野菜をバランス良く食べることで、太く丈夫な髪の毛の発毛・育毛が期待できます。
お酒・タバコを控える
一度にお酒もタバコもやめようとすれば、ストレスによる反動が懸念されます。
そのため、まずはどちらなら控えることができるかを考えましょう。
またその日から一気にやめるのは辛いと感じるだけでなく、長続きしません。
少しずつでも構わないので、減らす方向でコントロールすることを意識してみてください。
FAGAの治療方法
以下はFAGAの代表的な治療方法です。
■内服薬
- ミノキシジル内服薬(最近では否定的な意見も多い)
- スピロノラクトン
- パントガール
■外用薬
- ミノキシジル外用薬
■施術
- メソセラピー
- HARG療法
- 植毛
FAGAは進行すると改善しづらくなる
FAGAはゆっくりではありますが、日々症状が進んでいく進行性の薄毛です。
放っておけば悪化するため、脱毛が広範囲になってくると改善が難しくなるケースもあります。
ただし、軽度であるほど治療薬の効果も発揮されやすいため、比較的短い期間で改善することが期待できます。
「気付いたら薄くなっていた…」ということも多いので、抜け毛や薄毛が気になった際は医師に相談してみましょう。
FAGAでお悩みの方は専門クリニックへ相談
FAGAは徐々に進行していくため、非常に気付きにくい脱毛症です。
ふとした時に、薄くなっているという方も珍しくありません。
進行性の脱毛症なだけに一度発症すれば自然治癒することはなく、放っておけば薄毛は広がる一方です。
そのため、髪の毛の異変を感じた際は症状が悪化する前に医師に相談しましょう。
近年では、女性専門のクリニックやオンライン診療なども多いことから、女性の方も薄毛治療がしやすい環境になっています。