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パニック障害|原因や症状・薬の種類と効果

解離性障害とは

パニック障害とは理由なくパニック発作が繰り返し発生する精神障害です。
日本では100人に1人いると言われています。
パニック障害の原因や症状、治療法について確認しましょう。

パニック障害とは、理由なく突然発生するパニック発作が繰り返し起こり、このパニック発作に強い不安を感じる精神障害です。

発作の内容は人によって異なりますが、「息苦しい」「冷や汗」「身ぶるい」「動悸」「めまい」などの強い不安感が発作となって現れます。

パニック障害は不安障害に分類される精神障害です。

不安障害とは、通常よりも過度に心配・不安・恐怖を感じる精神障害で、その不安が日常生活に支障が出てしまう障害です。

パニック発作が繰り返されることで「またパニック発作が起こるかもしれない」と日常的に心配するようになり、次第に強い不安・恐怖を感じるようになります。

このような不安・恐怖を予期不安といい、パニック障害の特徴的な症状とされています。

日本でも100人に1人はパニック障害と言われており、決して珍しい病気ではありません。
障害自体は直接生命に関わる病気ではありませんが、慢性的なパニック発作や予期不安により症状が悪化すると日常生活に大きな支障をきたします。

早期治療を行う事で治りやすい病気と考えられています。これらの症状に思い当る際は、早めに医師に相談しましょう。

パニック障害の原因

パニック障害の原因 パニック障害の原因は、解明されていないこともあり全てが明確になっている訳ではありません。

最近の研究では、脳内の神経に異常があるのが原因と考えられています。

人間の脳内にはニューロンと呼ばれる神経細胞が無数に存在します。

このニューロンから神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン、GABA)を通じて、レセプターと呼ばれる受容体に情報が伝達され、感情や知覚、自律神経などに対して働きかけるのですが、この神経伝達物質やレセプターに異常が起こりパニック障害が発症するのです。

この他にも、遺伝やストレスが原因とする説もあります。

パニック障害患者の家系には、うつ病やアルコール依存症、パニック障害を発症する確率が高いというデータもあり、遺伝的な資質で不安を抱きやすい体質になると考えられています。

この遺伝による体質と、ストレスの多い環境、幼少期の辛い経験などの生育環境からパニック障害は起きるとも考えられています。

パニック障害の症状

パニック障害の症状 パニック障害の症状は、「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」と呼ばれる特徴を持ちます。

  • パニック発作
    突然強いストレスに襲われ、息苦しい、冷や汗、身ぶるい、動悸、めまいなどの症状が現れる。
  • 予期不安
    パニック発作が「また発生するのではないか」と不安を感じること。この不安が原因で神経質となりパニック発作が繰り返し発症するようになる。
  • 広場恐怖
    パニック発作と予期不安の連鎖・反復により不安が一層強まると、一人で外出できなくなり家にこもりがちになる。これを広場恐怖と呼び、広場恐怖が進展することで症状をより一層悪化させるとともに社会生活に大きな支障をきたすようになる。

上述の通り、広場恐怖が発症すると症状は悪化の一途を辿るため、そうなる前に早期に治療することが重要です。

パニック障害の治療方法

パニック障害の治療方法 パニック障害の治療は、薬物療法・心理療法で様々な方法がありますが、主に認知行動療法を中心に行われます。

認知行動療法では、不安に対して神経質になっている心を治すことに重点を置きます。

認知行動療法とは
人の行動とパニック発作がどのように関連しているかを考え、その事柄に対処することにより1人で外出できないなどの行動をコントロールできるようにする訓練療法です。
主に「不安に振り回されない」「不安から逃げない」「不安に立ち向かう」ための練習を行う。
不安・恐れていることに慣れる
不安を感じる状況や場所を想像したり、実際に行くことで徐々に慣れる療法で暴露療法ともいう。
軽度なものから不安克服の経験を積み、自信を付けつつ徐々に段階を上げていく。
パニック発作を抑える
呼吸法やリラックス法を練習・訓練し、あらかじめパニック発作を抑える準備をしておく。

薬物療法では、薬の効果でパニック発作を抑え、予期不安や広場恐怖などをコントロールしていきます。
薬の効果や副作用などの経過を注意深く観察しながら安定的に薬の投与を行い、症状が治まってきた事を確認しながら減薬していきます。
問題なく治療が進むと、最終的に薬の投与がなくても症状が出なくなります。

パニック障害が発症する仕組み

パニック障害が発症する仕組み パニック障害は、脳内の機能が原因で発症する脳機能障害と考えられています

人の脳の中で不安感や恐怖心を感じ取るのは、脳幹の「橋」「中脳」「間脳」「延髄」の4つで構成されていますが、この内の「橋」の青斑核と言われる神経核が人間の不安感や恐怖心を感じとる部分です。

本来、人が不安感や恐怖心を感じる反応は、動物的な本能であり、生命の危険などを察知するための危険信号の役割を果たす大切な反応です。

しかし、その不安感・恐怖心を感じとる「橋の青斑核」が、通常とは異なる働きをしてしまう事でパニック発作を起こす原因となってしまうのです。

また、ストレスを受ける事により、ノルアドレナリンという神経伝達物質が脳内で分泌されます。このノルアドレナリンはストレスに対応するための物質ですが、青斑核が正常に動作せずノルアドレナリンが分泌され続けてしまうと、不安心や恐怖感を感じ続けるようになり、パニック障害を発症してしまいます。

発作が起こる前兆として不安心や恐怖感を感じるのは、脳内がこの様な仕組みで働いているからです。

パニック障害の薬とは

パニック障害の薬とは パニック障害の治療に用いられる薬は、抗うつ剤や抗不安薬です。

抗うつ剤には、三環系、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)など様々な種類があります。

どれも脳内の神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンに作用することで、うつの症状を改善しますが、パニック障害にも有効である事が判明しています。

抗不安薬には不安を抑える効果があり、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬やβ遮断薬などがあります。

抗うつ剤は少量から服用を始め、徐々に服用量を増やしていきます。

効果が出るまでには2~4週間程度かかるため、抗不安薬を服用してパニック発作を防ぎます。

また、抗不安薬のベンゾジアゼピン系は依存症になりやすいと言われているため、服用に際しては必ず医師の指示に従いましょう。

パニック障害の薬の種類

パニック発作と予期不安に効果のあるベンゾジアゼピン系の薬は様々な種類があります。
ここでは体内から薬が排泄されるまでの時間「半減期」ごとに各お薬をご紹介します。

超短時間型(半減期:3~6時間)

  • エチゾラム(商品名:デパス)
  • クロチアゼパム(商品名:リーゼ)
  • フルタゾラム(商品名:コレミナール)
中間型(半減期:12~20時間)

  • ブロマゼパム(商品名:セニラン、レキソタン)
  • ロラゼパム(商品名:ワイパックス)
  • アルプラゾラム(商品名:ソラナックス、コンスタン)
長時間型(半減期:20~100時間)

  • クロキサゾラム(商品名:セパゾン)
  • ジアゼパム(商品名:ホリゾン、セルシン)
  • クロルジアゼポキシド(商品名:バランス、コントール)
  • メダゼパム(商品名:レスミット)
  • オキサゾラム(商品名:セレナール)
  • クロラゼプ酸ニカリウム(商品名:メンドン)
  • メキサゾラム(商品名:メレックス)
超長時間型(半減期:100時間以上)

  • プラゼパム(商品名:セダプラン)
  • ロフラゼプ酸エチル(商品名:メイラックス)
  • フルトプラゼパム(商品名:レスタス)

これらの薬の主な副作用として、ふらつきや眠気、注意力低下、攻撃性などが挙げられます。
長時間作用するほど、この副作用も長時間継続する傾向にありますので、医師の指示の通りに服用して下さい。