双極性障害|原因や症状・薬の種類と効果
従来は躁うつ病と呼ばれており、自殺リスクの高い特徴を持ちます。
双極性障害の原因や症状、治療法について確認しましょう。
双極性障害とは、【躁】と【うつ】の症状を繰り返してしまうもので慢性の精神疾患となります。
従来までは躁うつ病と呼ばれていましたが、2つの極端な症状が出る事から現在では双極性障害と呼ばれるようになり、双極症とも呼ばれます。
うつ病と同様に気分障害に分類されており、うつ病はうつの症状のみですが、双極性障害は2つの症状を繰り返してしまい、躁の症状の重症度によって双極Ⅰ型、Ⅱ型と分ける事ができ、Ⅰ型の場合、日常生活や社会生活に支障をきたしてしまい入院しなければならない程の状態を指します。
Ⅱ型は生活に支障が出るほどでもなく、一見すると明るく、気持ちが高揚しているように見えるのがⅡ型と判断されます。
治療を行うことは可能な疾患ですが、治療せずに症状を放置してしまうと度々うつと躁の症状を繰り返してしまい、対人関係や社会的な信用または家庭の崩壊など本人の人生が崩れてしまうのも双極性障害の特徴の1つとなります。
また自殺リスクも高く、自傷ケースも多く、薬物乱用や不安障害などの併発も多い症状となります。
目次
双極性障害の原因
双極性障害の原因は明確には分かっておらず、諸説ありますが、遺伝的要因が関係していると考えられています。1個の遺伝子で起こる病気ではなく、遺伝子が複雑に絡み合って発症してしまうとされており、遺伝病とは異なります。
また遺伝的な要因は関係していますが、遺伝的な要因のみで発症してしまう病気ではない事は明らかになっています。
環境的要因もあるとされており、生育環境や患者本人が受ける慢性的なストレスが原因の1つとなる事もあります。
ですが、そのような過程を経て双極性障害を発症してしまうかは明確には分かっていません。
他にも神経細胞内にあるカルシウムイオンに変調をきたしていると考えられる場合や脳内の感情をコントロールする前部帯状回と呼ばれる部分が小さくなっており、脳に原因があるとも言われています。
双極性障害は未だに明らかな原因はつかめていない症状なので、今後の研究などによって原因が解明されていく病気となります。
双極性障害の症状
双極性障害の症状は大きく分けると3つの症状があります。1つ目の症状として躁状態があります。
先程も紹介しましたが双極Ⅰ型と呼ばれる症状です。
躁状態は本人の周囲や家族を疲労困ぱいにしてしまいます。
寝る事をほとんどしなくなってしまい、動き回り続け、口数も非常に多くなり周囲の人や家族に話をさせる暇を与えることなく喋り続けます。
物事に対して熱心に取り組みますが、集中力を持続させる事ができずに物事をきちんと終わらせる事ができません。
借金を作ってしまったり、法的な問題を起こしたりするケースや失敗するとわかっていながらも色々な事に手を出してしまいます。
また誇大妄想を持ってしまう事もあります。
2つ目に軽躁状態があり、双極Ⅱ型に分類される症状です。
ほとんどの場合、周囲などに迷惑をかける事はありませんが、人が変わってしまったかのようにエネルギッシュであり、積極的な人に見えますが、少し行き過ぎてしまっているようにも見えます。
Ⅰ型Ⅱ型の共通として本人に自覚がなく大きな問題を起こしていても本人は困らず、逆に調子が良いと思ってしまい、迷惑な行為に気付く事が出来ません。
3つ目にうつ状態があり、うつの症状が出ている時に本人が具合の悪さを感じます。
抑うつと呼ばれる状態や意欲低下、罪悪感、疲労、倦怠感、自殺念慮などが現われます。
こういった症状の内、5つ以上が2週間続くのが、うつ状態となります。
躁とうつの状態を繰り返すのが双極性障害の症状となり、きちんとした治療を行わないと急速交代型に変わってしまい薬もほとんど効かなくなってしまいます。
双極性障害の治療方法
双極性障害の治療には薬物療法と心理療法の2つがあります。薬物療法において用いられる薬は気分安定薬が有効とされています。
日本で認められているのは気分安定薬のみですが、海外では他にも双極性障害にも有効とされる薬がいくつか存在しています。
薬の服用によって躁状態とうつ状態を改善・予防できる効果があり、自殺などのリスクを下げる事ができます。
精神疾患に対して効くと言われている薬のほとんどは副作用があり、症状を改善するためには副作用とも戦わなければなりません。
なので、副作用を前提に治療を行っていかなければなりません。
心理療法では、本人に双極性障害に対しての理解を深めてもらい、治療に用いられる薬の作用や副作用を理解し、再発がどういった場合に起こるのか本人に把握してもらう事を目的としています。
それにより対処法などを学び状況に応じて対応できるようにする事も大切な治療となっています。
他にも規則正しい生活を送る事や適度な運動をする事で病気の安定化を図る事もでき、治療には有効とされています。
双極性障害が発症する仕組み
双極性障害は【うつ】がきっかけで始まる事が多いと言われ、患者の2/3もの人が【うつ】から始まると考えられています。うつ病の症状を数回繰り返し、突然、躁状態になってしまうタイプの人があり、うつ病と思っていたが実は双極性障害だっというケースも多いです。
うつ病から双極性障害に移行してしまう、うつ症状の特徴として発症が急性であり、症状も比較的重く、うつが妄想や幻覚など精神病の症状を伴って始まる傾向が強いようです。
また脳内の神経伝達物質であるドーパミンが関係していると考えられている場合もあり、躁状態はドーパミンの過剰分泌により発症し、逆にうつ状態はドーパミンの量が減ってしまう事で発症すると考えられており、ドーパミンの量によって症状が発症すると考えられている場合があります。
双極性障害の薬とは
双極性障害の薬は躁状態やうつ状態の症状を和らげたり、改善するだけでなく、再発を防止し、症状を安定させるために欠かす事ができません。現在日本では気分安定薬と抗精神病薬が治療に用いられています。
不眠などの症状がでている場合には睡眠導入剤などを併用する事もあります。
またうつ状態の時に抗うつ薬の使用に関しては議論があるので使用しないケースもあります。
どちらの薬も再発を予防でき双極性障害の症状を改善してくれます。
症状の放置や治療を行わないでいると、再発するのが双極性障害の特徴でもあるので、症状が楽にまたは改善されたからといって薬の服用を止めてしまうと、ほとんどの場合、再発します。
なので、最低でも2年ほどの長期間、服用を続けていく事が大切になります。
症状が安定することで、社会生活に戻る事も出来るようになります。
双極性障害の薬の種類
双極性障害に効果のある薬の種類を紹介します。
日本で使用されている気分安定薬と抗精神病薬は、6種類あります。
- リチウム
躁状態に時に用いられ、中枢神経に作用し、高まってしまっている感情や行動を抑制してくれる効果がある。 - バルプロ酸
脳内の神経伝達物質であるGABAやドーパミンの濃度を上げる効果がある。
この薬も躁状態の時に用いられます。 - カルバマゼピン
躁状態の時に用いられ、脳内の過剰に高ぶっている神経を鎮静する効果がある。
この効果により過剰な気分の高まりを落ち着かせてくれます。 - ラモトリギン
躁状態や抑うつ状態の時に用いられます。
再発の予防効果があるとされています。
これら4種類の他に抗精神病薬が2種類あります。 - アリピプラゾール
統合失調症にも用いられる薬であり、躁状態を 改善する効果がある。 - オランザピン
脳内の神経伝達物質に作用し、バランスを整えてくれる働きがある。
また気分の安定や誇大妄想の症状や強い不安感、苛立ちを抑えてくれる効果がある。
また躁状態、うつ状態の症状を改善してくれます。
6種類すべての薬に副作用があり、副作用が出る事を前提として最低2年間は服用していかなければなりません。