【医師監修】勃起力を向上させる筋肉
勃起力の衰えを感じる男性は、年齢を重ねるごとに増す傾向にあります。
もちろん加齢は抗うことのできない老化現象とも言えますが、下半身を意識的にトレーニングすることで再び力強い勃起力を取り戻すことができます。
このページでは勃起力を取り戻すにはどの筋肉を鍛えればいいのかついて解説していきます。
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記事の監修医袴田 康宏
2012年名古屋市立大学医学部卒業後、2014年から聖隷浜松病院に勤務し、泌尿器科医長に就任。日本泌尿器科学会専門医、日本泌尿器内視鏡学会泌尿器腹腔鏡技術認定医、身体障害者福祉法第15条指定医、がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了。
クリニックHP:総合病院 聖隷浜松病院
勃起力向上には下半身の筋トレが効果的
勃起力をUPさせるのに効果的とされるのが、下半身のトレーニングです。
「筋肉は勃起に関係あるの?」と思われるかもしれませんが、実は男性器に血液を送るためにポンプの役割を果たしている筋肉があります。
その筋肉が収縮・弛緩を繰り返すことで、多くの血液を男性器に送ることができるようになります。
下半身の筋肉量が上がることで勃起時に男性器を十分な血液で満たすことができ、 硬さや維持といった勃起力向上につながっていきます。
ちなみに勃起力を衰えさせるケースとして考えられるのが、ED(勃起不全)です。
加齢による動脈硬化、生活習慣病、ストレスなどによるメンタルの不調など、原因は人によってさまざまです。
ただEDであっても、下半身の筋トレは改善に有効性を示すデータもあります。
それだけに納得のいく勃起ができていないと感じている男性は、今日からでも取り入れ実践していきたいところです。
まずは勃起力向上のために鍛えておきたい筋肉について、詳しく確認していきましょう。
勃起力向上のために鍛える筋肉
下半身には、大きい筋肉が集中しています。
正しく鍛えることで勃起力の向上はもちろん、代謝UPや疲れにくい体づくりといったパフォーマンス向上にも良い働きをしてくれます。
またトレーニングによって男性ホルモンの分泌が促されるため、性欲が落ちてきたと感じる男性も意欲的になれることが見込めます。
ここからは勃起力向上に関係する筋肉を1つひとつご紹介していくとともに、そのメリットについても詳しく解説していきます。
PC筋(骨盤底筋)
PC筋肉とは骨盤底筋(こつばんていきん)と呼ばれる筋肉であり、骨盤の底に集まっている筋肉の総称です。
男性器に血液を送ったり男性器に送った血液をとどめておく役目もあり、鍛えることで中折れの改善や勃起力の維持・向上が期待できます。
その他にも、膀胱や内部臓器を支えたり、排泄のコントロールなどの生活に欠かせない多くの役割を担っています。
そのため、PC筋が衰えてくると勃起力の低下や尿漏れ、姿勢などが悪くなり日常生活の質が低下してしまうこともあります。
PC筋を鍛えることで下半身の血流の増加、テストステロンを増やすこともできるので、勃起力の向上を図りたい方は鍛えておきたい筋肉です。
- 下半身の血流の増加
勃起力の維持・向上、サイズアップ - テストステロンの増加
勃起力の向上、性欲増加
BC筋(球海綿体筋)
BC筋は海綿体を支えたり、尿や精子を出す役割がある筋肉です。
鍛えることで勃起力の向上や早漏の改善が期待できます。
また、射精時の勢いが増すことで射精時の快感も増加すると言われています。
尿道周りにある筋肉のためPC筋と同じように血液を送り出すポンプの役割があり、さらに射精のタイミングをコントロールしやすくなるので、早漏改善の効果もあります。
- 勃起の維持、勃起力の向上
- 射精の勢いが増すことで快感が高まる
- 射精のタイミングをコントロールしやすくなる(早漏改善)
太ももの筋肉(大腿四頭筋・大腿二頭筋)
太ももは身体の中で最も大きな筋肉を備えた"第2の心臓"とも呼ばれている筋肉です。
全身の血流を循環する役割があり、鍛えることで循環促進効果が期待できます。
血液の循環機能が高まると男性器への血流を増やすことができるので、中折れや勃起時の維持がしやすくなります。
また、筋力トレーニングを行うことで男性ホルモンが分泌されやすくなるので、性欲の向上も期待できます。
- 勃起時の硬さやその維持
- 筋肉が大きいため男性ホルモンの分泌が促進されやすくなる
- 心肺機能の強化
こうしたメリットがあり、特に男性ホルモンは"男の源"や"モテホルモン"とも呼ばれるだけに勃起力に対して得られる恩恵は大きいと言えるでしょう。
お尻の筋肉(大臀筋)
お尻の筋肉の中で最も大きい大臀筋は、股関節の動きをサポートしている筋肉です。
大殿筋の筋肉強度を高めることで勃起力の向上、姿勢の改善やダイエット、腰痛の改善が期待できます。
また、お尻周りには下半身の太い血管や血流をコントロールする神経なども通っており、鍛えることで血流がUPし、勃起力の向上に繋がります。
鍛え方としては、屈伸運動が多いヒップリフトや階段の上り下りなどが大殿筋のエクササイズとして有効です。
- 男性器への血流量UP
- 代謝が上がる
- ウエストが引き締まる
また、メタボリック症候群や生活習慣病はEDのハイリスク群となるだけに、勃起力を低下させないためにも定期的なトレーニングが大切です。
勃起力を上げる筋トレ「スクワット」
スクワットは、勃起力を上げるために必要なPC筋BC筋などの筋肉を全て鍛えることができます。
太ももやお尻を部位ごとに分けて鍛えると、より効果的なトレーニングになりますが、スクワットは各部位を刺激することができるため、時間がない方などでも手軽に行うことができます。
<ワイドスクワット>
①足を外45度に向けて、肩幅よりも広めに足幅を広げる
②直立を保ち、3〜5秒をかけてゆっくりと腰を落とす(太ももが地面と平行になるまで)
③同じように3〜5秒かけて、ゆっくりと元の姿勢に戻す
セット数:10回×3
<サイドスクワット>
①足を肩幅よりも広げ、背筋を伸ばす
②両腕を前に伸ばし、腰を落としながら片方の膝を曲げる
③左右交互に行う
セット数:10回×3
積極的に性行為やマスターベーションを行う事も効果的
性行為やマスターベーションは、勃起機能のメンテナンスや維持にも関わっています。
勃起機能の確認方法として、最もポピュラーな例としてあげられるのが、朝勃ちです。
医学的には「夜間勃起現象」とも呼ばれ、男性は寝ている間に何度も勃起しています。
これは試運転ともいえ、勃起の頻度を一定に保つことで必要な筋肉や血管、海綿体といった組織が衰えるのを防いでいます。
このことから勃起の頻度は勃起力の維持につながっているだけに、いくつになっても性行為やマスターベーションは積極的に楽しむべきと言えるでしょう。
また性行為には他にもメリットがあります。
- モチベーションUP
- 前立腺がん予防
- 心臓病予防
- カロリー燃焼
- 睡眠の質改善
など
このように性行為には、細胞・組織を活性化させたり、さまざまなホルモンの分泌を促すことで男性の心身の健康を保つことができます。
勃起力の低下を感じたら早めの改善を!
最後にあらためて下半身の筋トレによる効果をおさらいしておくと、
- 勃起がしやすくなる
- 勃起を維持しやすくなる
- 勃起時のサイズアップ
- 排尿障害の予防
- ダイエット効果
- パフォーマンスの向上(代謝・ホルモン・血流)
下半身を鍛えることで勃起力はもちろん、男性の心身の健康を整えてくれます。
勃起力が低下すると性行為から離れる傾向にあり、より勃起しづらい状況を自ら作り出してしまうことにつながります。
多くの場合は加齢と共に勃起力も低下してきますが、下半身を鍛えておくことで歳を重ねても中折れやEDのリスクを減らすことができます。
勃起は男性の健康バロメーターとも言われているので、勃起力の低下を感じたら意識的に改善していきましょう。
参考
この記事を書いた人
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オンライン編集部:キム
自分がEDだったため、改善したい一心で3年間EDクリニックのカウンセラーとして勤務。クリニックで得た知識や改善方法を多くの男性に伝えるため、ライターに転職。 現在はクリニック体験記事も執筆しているので、ぜひご利用前にご覧ください!趣味は釣り、サウナ、ゲーム。