ストレスが原因の心因性ED(勃起不全)とは?
ED(勃起不全)にはいくつかの原因がありますが、ストレスなどの精神的な要因が原因であるものを心因性ED と呼びます。
クリニックが行なった20~40代の男性を対象にした調査では、EDの要因の実に77%がストレスによるものとの回答が得られています。
このことからもわかるように、EDの中でも心因性EDは決して珍しいケースではありません。
ここでは精神的な要因からEDになってしまう心因性EDについて、原因や改善方法、心因性EDにならないための予防方法などをわかりやすく説明しています。
心因性ED(勃起不全)の症状
心因性EDと言っても、その症状は血管や神経の機能の低下によって起こるEDと基本的には同じです。
勃起はペニス内部の海綿体という組織に血液が流れ込むこむことで起きますが、EDの場合はペニスへの血流が不足してしまい、セックスを行うのに十分な勃起を起こすのが困難になります。
心因性EDで最も多いのは、毎回勃起できないわけではなく
「時々しっかり勃起し、セックスができることがある」
という軽度から中等度の症状です。
「まれに勃起しないことがある」
「勃起ができるかどうかが不安」
などと本人が感じる程度の軽度のEDであっても、それは十分にED治療の対象といえるでしょう。
心因性ED(勃起不全)になってしまう原因
心因性EDの原因は、日常生活のストレスなどの「現実心因」と、過去のトラウマなど、心の奥深くに沈んだ不安や憎しみなどの「深層心因」に分けられます。
以下ではそれぞれについて詳しく説明しています。
現実心因
現実心因は、心因性EDの原因の中でも、日常のストレスやプレッシャーや不安、セックスへの緊張などが原因となっています。
例えば仕事のストレスやプレッシャーなどから現実心因性のEDになってしまうというのはよくあるパターンです。
夫婦間で子供を望んでいる場合など、それ自体がプレッシャーとなり、セックスが義務的に感じ楽しめなってしまい、そこから心因性のEDを発症してしまうというパターンも。
また、過去にセックスで失敗してしまっやことがトラウマになり、失敗体験を引きずったままセックスへの緊張や不安が解消できないことから心因性のEDになる場合もあります。
他にも、パートナーの女性に言われた「だめな男」や「がっかり」のような、男性としてのプライドを傷つけられるような言葉によるショックも、心因性のEDを発症してしまう原因です。
性生活のマンネリなどから妻に対してだけEDになってしまう「妻だけED」、自慰行為では勃起できるのに初めてのセックスでは極度の緊張から勃起ができない「童貞ED」など、これらも現実心因による心因性EDといえます。
現実心因は心因性EDの原因の中でも多く、前述した症状以外にも経済的なストレスや不安、ささいな心配事を気にしすぎることでも心因性のEDを発症してしまうこともあります。
深層心因
深層心因は、心因性EDの原因の中でも、幼少期に異性から受けた虐待などのつらい記憶やトラウマ、パートナーへの愛憎の葛藤や抑圧された感情、近親相姦などの潜在的な欲求であったり、ホモセクシャルなどの原因です。
本人が原因を自覚している場合もありますが、まったく自覚のない無意識的な問題である場合もあります。
そもそもの原因の特定が難しいことなどから、現実心因以上に深刻かつ複雑な心因性のEDといえるでしょう。
心因性ED(勃起不全)の治療・改善方法は?
心因性EDであっても、基本的にはバイアグラなどのED治療薬による治療が有効な治療になります。
というのも、ペニス内部の海綿体への血流が不足しているという点は、他のEDと共通の原因であるからです。
ED治療薬以外では、カウンセリングなどによる心理療法による治療も心因性EDには有効であるといえます。
ここからは、それぞれの治療について詳しく確認していきましょう。
治療薬での改善
心因性EDの治療薬にはED治療薬が有効であることはすでに述べましたが、現在日本でED治療薬として厚生労働省に認可されている医薬品は3つあります。
その3つの医薬品が、「バイアグラ」「レビトラ」「シアリス」です。
これらの医薬品はそれぞれ下記のような特徴がありますが、血管を拡張させることでペニスへの血流を増加させ、性行為に十分な勃起を起こすという作用機序は共通しています。
- バイアグラ
世界初のED治療薬として有名、勃起力は強いが副作用も比較的強め
- レビトラ
即効性に優れたED治療薬、食事の影響も受けにくく、バイアグラ並の勃起力
- シアリス
最も食事の影響を受けにくく、副作用も少ない。自然な効き目が長時間続く
心因性EDは、強いストレスなどによる血行の悪化により、性的刺激が起こってもペニス内部への血流が十分に得られていないことが多いため、血管拡張作用のあるED治療薬が有効なケースがほとんどです。
また、セックスに対する極度の不安や緊張がある場合でも「今日はED治療薬を飲んでいるから大丈夫」と自信を持つことができます。
さらに、ED治療薬を使用してセックスに成功すれば、それが自信に繋がり徐々に心因性EDが改善され、最終的にはED治療薬に頼らずにセックスを行えるまでになるケースもあります。
このように、ED治療薬は心因性EDに対して、薬理的な面でも心理的な面でも有効であると言えます。
心因性ED(勃起不全)にならないためには?
心因性のEDを防ぐためには、何よりもまずストレスを溜めないことです。
現代社会はストレス社会とも言われているように、ストレスをまったく受けずに生活することは容易ではありません。
そのためストレスを受けなくするというより、自分に合ったストレスの解消方法を見つけておくことが大切です。
人それぞれのストレス解消方法があるかと思いますが、特に適度な運動はストレスの解消効果だけでなく血流の改善や男性ホルモンの分泌を促すなどの効果から、EDの予防にも適しています。
また、パートナーとの間にはセックスに対する意識の違いや温度差などをなるべく起こさないようにすることも大切です。
セックスは決して義務的に行うものでなく、お互いの気持ちを伝えるためのコミュニケーションのひとつ。
男性は自信を持ちリラックスした状態で行為に望むよう努め、女性は男性に過度なプレッシャーを与えないようにしましょう。
心因性ED(勃起不全)になりやすい人の特徴
心因性EDを発症する人の多くは 20代~30代の若年層です。
これは、神経や血管などの機能が衰えることで発症する器質性EDが、40代以降の中高年層に多いことと比べると対称的です。
その理由としては、若さゆえの経験不足からくるセックスや異性に対する緊張や不安、プレッシャーなどが強くなってしまうからと考えられます。
若年層でなくても、「ストレスを感じやすい、溜め込みやすい人、生真面目で責任感が強い人、神経質であったり緊張癖がある、心配性な性格の人」などは心因性EDになりやすいと言えます。
また、アニメキャラクターなど二次元の画像や動画を使って自慰行為(オナニー)を日常的に行っている場合、現実の女性の体に性的な興奮が起こりにくくなり、心因性EDになってしまうケースもあります。
- 20代~30代の若年層
- ストレスに弱い
- 真面目で責任感が強い
- 神経質
- 緊張癖がある
- 心配性
- 二次元の画像や動画で自慰行為をしている
心因性ED(勃起不全)についてまとめ
ストレスなどを原因とする心因性EDについて説明してきましたがいかがでしたでしょうか。
このページの内容をまとめると以下のようになります。
- ストレスの多い現代、心因性のEDは決して珍しくない
- EDの症状はまれに起こる程度のものでも治療が推奨されている
- 心因性EDの治療にもバイアグラやレビトラなどのED治療薬が有効
- 安全の面からED治療薬はクリニックなどの医療機関での購入が良い
心因性EDは現代では多くの男性が発症する可能性があり、決して特殊なものではありません。
毎回セックスができないわけでなくとも、EDの治療は行うべきとされています。
心因性のEDに対しても効果の高いED治療薬ですが、購入はクリニックなどの医療機関で行いましょう。
日頃からストレスを溜めないようにするなどの予防も大切ですが、もしEDになってしまった場合でも、恥ずかしがらずにまずは医療機関を受診してください。
EDは誰もが発症する病気ですが、改善することもできる病気です。