【医師監修】AGA(男性型脱毛症)の原因|AGAを改善するために知っておきたいこと
AGA(男性型脱毛症)は、日本人男性の3人に1人が発症しているとされる脱毛症です。
さらに男性の脱毛症の90%以上をAGAが占めるといわれていますが、現在は有効な治療法があるため、積極的に治療を行う方も増えています。
そして、適切な治療を行う上で、まずは原因を知ることが重要です。
ここではAGAの直接の原因や、薄毛の進行を助長してしまう間接的な原因について詳しく紹介していきます。
なお、このページは「銀座マイアミ美容外科 院長 丸山直樹先生」に監修して頂いています。
AGAを改善するためには原因を知ることが重要!
AGAを改善するには症状に適した治療を行う必要がありますが、そこで重要となるのが原因です。
進行性の脱毛症であるAGAですが、発症する部位や進行度合いは個人差があります。
なぜなら、AGAの原因が1つだけではないからです。
AGAの主な原因
- DHT(ジヒドロテストステロン)
- 遺伝
- 生活習慣の乱れ
- ストレス
- 間違ったヘアケア
これらの原因を詳しく確認していきましょう。
DHT(ジヒドロテストステロン)
AGAの1番の原因は、「DHT(ジヒドロテストステロン)」と考えられています。
DHTとは、男性の体内に必ず存在する男性ホルモン「テストステロン」と「5αリダクターゼ」という酵素が結合して生成される男性ホルモンです。
- テストステロン + 5αリダクターゼ(酵素) = DHT
DHTは、男性胎児の外生殖器形成のさいに重要な役割を果たすなど、男性の身体の成長に必要なホルモンです。
しかし、分泌量が必要以上に増加することで、AGAを発症する原因となってしまうことがわかっています。
このDHTがAGAをどのように発症させるかを知る上で重要となるのがヘアサイクルです。
ヘアサイクルとは?
ヘアサイクルとは、毛が生えてから抜けるまでのサイクルで、「毛周期」とも呼ばれます。
ヘアサイクルは、成長期・退行期・休止期の3つにわかれ、健康なヘアサイクルは以下のような周期となります。
- 成長期(髪が成長する時期):2~6年
- 退行期(成長が止まる時期):2~3週間
- 休止期(抜ける時期):3〜4ヶ月
健康な状態であれば、毛髪の約90%は成長期と退行期で、残り10%が休止期という状態です。
しかし、AGAを発症すると成長期が数か月~1年ほどに短縮され、成長途中の髪の毛が抜け落ちてしまいます。
この成長期を短縮させてしまう原因となるのが前述で解説したDHTです。
DHTが、毛包のAR(アンドロゲンレセプター)と統合することで、脱毛因子と呼ばれる「TGF-β」が増加します。
このTGF-βが、髪の毛の成長期から退行期へ切り替える物質「FGF-5」へ脱毛するように指令を出すことで成長期が短縮されてしまうのです。
その結果、AGAが発症しますが、一連の流れは以下の通りです。
- DHT + AR = TGF-β
- TGF-βがFGF-5に「脱毛」の指令を出す
- 髪の成長期が短縮
- AGA発症・進行
ヘアサイクルの回数は、個人差がありますが15回程度といわれています。
1サイクルが短くなれば短くなるほど、ヘアサイクルの寿命が短くなってしまうため、早めに治療を開始することが重要です。
遺伝
AGAの原因として遺伝も重要な要素となります。
なぜなら、遺伝により以下が受け継がれる可能性があるからです。
- 5αリダクターゼの活性度
- AR(アンドロゲンレセプター)の感受性
5αリダクターゼは、テストステロンと結合することでDHTを生成する酵素です。
活性度が強いほど、DHTが増えやすくAGAになる可能性が高まりますが、この活性度は優勢遺伝します。
つまり、両親のどちらか一方が5αリダクターゼの活性度が強い遺伝子を持つ場合、子どもに受け継がれてしまうのです。
また、AGAを発症する原因となるのが、AR(アンドロゲンレセプター)の感受性です。
ARの感受性が強ければ強いほど、DHTと結合しやすくなるため、AGAを発症する可能性が高まりますが、このARの感受性は母親から遺伝します。
元をたどると母方の祖父から母親へと受け継がれているため、母方の祖父が薄毛の場合、隔世遺伝をする可能性が高いといえます。
生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れによる頭皮環境の悪化やホルモンバランスの乱れはAGAの原因の1つと考えられています。
とくに以下の点には注意が必要です。
- 偏った食生活
- 睡眠不足
- 喫煙
- 過度のアルコール
それでは詳しく確認していきましょう。
偏った食生活
偏った食生活はAGAの原因となります。
例えば、油分の多い食事が続けば頭皮も皮脂が増えてしまい、頭皮環境の悪化を招いてしまいます。
さらに、毛髪の成長や発毛に必要なタンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養素が不足すれば健康な毛髪は育ちません。
とくに、脂質・塩分・糖質が多い食べ物は、頭皮の血流悪化の原因となる可能性があるため控えるようにしましょう。
睡眠不足
睡眠不足が続くと、髪の成長と修復がうまく行われないため、AGAの原因となります。
というのも、髪の成長に重要な役割をもつ成長ホルモンは、入眠後から3時間の間に最も多く分泌されます。
睡眠不足が続くと、この成長ホルモン分泌が正常に行われずに、結果として髪の成長を阻害してしまいます。
また、髪の毛を生み出す毛母細胞の分裂活動に悪影響を与えてしまう可能性があるのです。
さらに、睡眠不足は自律神経のバランスを乱し、血流悪化を招く可能性があります。
血流が悪化すれば、毛根に栄養が行き届かなくなってしまうため、抜け毛や薄毛の原因になってしまいます。
喫煙
喫煙はAGAの原因となる理由は以下の通りです。
- 血行不良
- 活性酸素の増加
- 悪玉コレステロールの増加
タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させる作用があるため、頭皮の血行不良の原因です。
さらに、喫煙により、老化を促進する活性酸素の増加することで、髪の毛を生成する毛母細胞の老化を招きます。
また、悪玉コレステロールが増加することで体内ではタウリンが生成されますが、タウリン生成は髪の生成に必要なアミノ酸を消費してしまいます。
これらの要素が重なることでAGAの発症や進行の原因となってしまうのです。
なお、ハーバード大学の研究によると、喫煙者は非喫煙者にくらべてDHTの増加が14%高いということがわかっています。
このように喫煙はAGAの発症や進行に悪影響を与える可能性が強いため控えた方がよいといえるでしょう。
過度のアルコール
アルコールを摂取すると体内では「アセトアルデヒド」という物質に分解されます。
アセトアルデヒドとは二日酔いの原因となる毒性の強い物質です。
過度のアルコールを摂取すると、このアセトアルデヒドの分解が追い付かなくなり、以下の理由からAGAの原因となってしまいます。
- アセトアルデヒドの分解に多くのアミノ酸が使われる
- アセトアルデヒドが体内に残るとDHTを増加させる
過度にアルコールを摂取した場合、アセトアルデヒドの分解に多くのアミノ酸が必要となってしまいます。
その結果、髪の成長に必要な栄養素が不足してしまう可能性があるのです。
さらに、アセトアルデヒドが分解しきれず体内に残ることでAGAの原因となるDHTが増加すると考えられています。
このように過度のアルコールは、AGAの原因となってしまうため、飲酒をする際はほどほどにすることが大切です。
ストレス
ストレスは頭皮環境の悪化を招く可能性があるため、AGAの原因の1つと考えられています。
というのも、ストレスにより、自律神経が乱れるとホルモンバランスを崩す原因となってしまいます。
ホルモンバランスが崩れると男性の場合、皮脂の分泌量が増えるため、結果として頭皮環境を悪化させてしまうのです。
さらに、ストレスは血管を収縮させてしまう可能性があるため、頭皮の血行不良の原因にもなります。
現在、ストレスがAGAの直接の原因というのは科学的には証明されていません。
しかし、頭皮環境の悪化を招く可能性がある以上、適度にストレス発散をすることが重要といえます。
間違ったヘアケア
頭皮環境を整える上で、ヘアケアはとても大切です。
しかし、その方法を間違えると逆に頭皮環境を悪化させてしまうので注意しましょう。
以下は頭皮環境の悪化の原因となる間違えたヘアケアの一例です。
- 頭皮に合っていないシャンプーの使用
- シャンプーのしすぎ(1日1回で十分)
- シャンプーの洗い残し
- 過度の頭皮マッサージ
- ドライヤーの使いすぎ
- 整髪料のつけすぎ
など
正しいか間違っているかを判断するのは困難です。
そのため、ヘアケアについて不安がある場合は、AGAクリニックの専門医に相談することをオススメします。
原因に対して適切な治療を行えばAGAは改善する
AGAを改善するには原因に対して適切な治療を行うことが大切です。
原因といってもさまざまありますが、主な原因はDHT(ジヒドロテストステロン)と考えられています。
そこでAGA改善に最も有効な手段となるのが、DHTの生成を抑制するAGA治療薬です。
具体的にどのような治療薬があるのか次項で詳しく確認してみましょう。
DHTの生成を抑制するAGA治療薬
AGAの原因となるDHTの生成を抑制するには以下の治療薬が有効です。
- プロペシア(フィナステリド)
- ザガーロ(デュタステリド)
繰り返しとなりますが、DHTは、テストステロンと5αリダクターゼという酵素が結合して生成される男性ホルモンです。
上記のプロペシアやザガーロは、5αリダクターゼの働きを阻害することでDHTの生成を抑制するAGA治療薬です。
乱れたヘアサイクルを正常に戻すことで脱毛を防ぐ効果があります。
なお、どちらの治療薬も日本皮膚科学会の脱毛診療ガイドラインで「A(行うよう強く勧める)」と評価されています。
上記以外にもミノキシジルがAGAに有効です。
DHTの生成を抑制して脱毛を防ぐプロペシアやザガーロに対してミノキシジルは毛母細胞に直接働きかけ発毛を促します。
そのため、プロペシアやザガーロとミノキシジルを併用することで、より一層のAGAの改善効果が期待できます。
生活習慣の改善やストレス発散もAGA改善に大切
AGAの治療を行う中で、生活習慣の改善やストレス発散も重要な要素といえるでしょう。
なぜなら、前述で説明した通り、生活習慣の乱れやストレスはAGAの原因となるからです。
治療効果を上げるためにも、以下の点を意識するようにしましょう。
- バランスの取れた食生活
- 質の高い睡眠
- 喫煙数・アルコール量を減らす
- ストレス発散
- 適度な運動
など
1度にすべて見直すのは困難なため、以下のように出来ることから改善してみましょう。
- 野菜を多く食べる
- いつもよりも30分早く寝る
- 喫煙数や飲酒量を少し減らしてみる
- 移動手段に徒歩を取り入れる
など
なお、生活習慣の改善やストレス発散などはAGA予防にもつながります。
自己判断でのAGA治療薬の使用は危険
AGAの原因がわかっても適切な治療を行わないとAGAは改善どころか悪化してしまう可能性があります。
とくにAGA治療薬は医薬品である以上、自己判断で使用するのは控えましょう。
なぜなら、副作用のリスクや、体質によってはAGA治療薬の使用が好ましくない場合があるからです。
それでは、AGAを改善する上で何が大切なのか、次項で説明します。
AGAを改善するために大切なことは?
AGAを改善するために大切なことは、原因を特定し、その原因や症状に対して適切な治療を行うことです。
自己判断でこれらを判断するのは困難といえるでしょう。
そこで重要になるのが、専門医への相談です。
なぜなら、AGAクリニックでは原因の特定はもちろん、症状に応じた最善の改善方法を提案してもらえるからです。
しかし、いきなりAGAクリニックで治療を開始するのは不安と思う方もいることでしょう。
そこで、活用してほしいのが無料カウンセリングです。
無料カウンセリングでは、医師の問診や症状の確認、治療法や料金の説明などを無料で受けられます。
カウンセリングを受けたからといって、そのクリニックで治療をしなくてはいけないということもありません。
AGAに対して不安がある場合や、現在症状が出て悩んでいる場合はまずは無料カウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか?
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記事の監修医の紹介
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記事の監修医丸山 直樹(銀座マイアミ美容外科 院長)
銀座マイアミ美容外科 院長
1978年愛知県豊橋市生まれ。2004年に昭和大学医学部卒業したのち、聖隷浜松病院への勤務、昭和大学形成外科への入局を経て、2017年銀座マイアミ美容外科を開院。日本専門医機構形成外科領域専門医の資格を持ち、美容整形外科医としての実力に多くの女性の支持を集めている。また、2018年に医療法人社団形星会理事長に就任し、自身のコラムや監修で、健康や美容に関する正しい知見を広めることにも積極的に活動している。
プロフィール:丸山 直樹
公式HP:https://myami-clinic.jp/
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この記事を書いた人
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オンライン編集部:タツ
【写真は治療開始前】31歳から薄毛になり、治療を始めてもうすぐ5年が経過するオンライン診療NAVI編集部のタツです。 これまで試してきた薄毛治療や薄毛の知識を発信するために、現在薄毛専門のライターとして執筆中! 市販の育毛剤やクリニックでもらう治療薬の違いなど、薄毛治療初心者にも分かりやすいように解説しています。 同じ悩みを持つ方々の力になれるよう有益な情報を伝えていければと思います!