【医師監修】ミノキシジルの副作用|対処法や注意点を詳しく紹介
ミノキシジルは、AGAを改善する上で重要な、発毛効果が認められた医薬品成分です。
しかしその反面、副作用を不安に思う方は少なくないはずです。
ここでは、副作用の種類や副作用を抑える方法、副作用が起きた場合の対処法を解説します。
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記事の監修医宮田 洋佑(シンデレラ&ダヴィンチクリニック)
北里大学卒業後、初期研修を経て心臓血管外科へ進む。
2016年に美容外科へ進み、共立美容外科をはじめとして複数の大手美容外科に勤務し院長、技術指導医を歴任する。2021年に独立し名古屋駅近郊でシンデレラ&ダヴィンチクリニック院長を務める。クリニックHP:シンデレラ&ダヴィンチクリニック
※監修者はクリニック選定に関わっておりません。
ミノキシジルの副作用
ミノキシジルは、頭皮に直接塗布する外用薬と、経口タイプの内服薬に分かれます。
ここでは、それぞれ副作用が起こる確率と副作用の症状について紹介していきます。
- ミノキシジル外用薬の副作用
- ミノキシジル内服薬の副作用
- ミノキシジルで副作用の起こる確率
それでは詳しく確認していきましょう。
ミノキシジル外用薬の副作用
ミノキシジル外用薬の主な副作用は以下の通りです。
- 皮膚:頭皮の発疹・発赤、かゆみ、かぶれ、ふけ、使用部位の熱感など
- 精神神経系:頭痛、気が遠くなる、めまい
- 循環器:胸の痛み、心拍が速くなる
- 代謝系:原因のわからない急激な体重増加、手足のむくみ
外用薬の副作用は軽度~中度となり、長期使用でも重篤な副作用がみられることはほとんどありません。
副作用の主な原因
ミノキシジル外用薬の主な副作用の原因として考えられるのは以下の通りです。
- 血管拡張作用
- 溶剤
外用薬は直接塗布した箇所の血管を拡張する作用があるため、使用後に自然とかゆみなどの副作用が起こる可能性があります。
また、発現率は高くはないものの、精神神経系や循環器、代謝系で起こる副作用もこの血管拡張作用が原因と考えられます。
なお、ミノキシジルの含有量が高いほど、作用が強く働くため、副作用の発現率は高くなることを覚えておきましょう。
その他にもミノキシジル外用薬に含まれる溶剤へのアレルギー反応により、かゆみ、かぶれ、炎症などの副作用が出る場合があります。
溶剤には、ミノキシジルを水に溶かすために、エタノールやプロピレングリコールが使用されています。
とくに、プロピレングリコールにアレルギー反応が起こる方もいるため、かゆみなどの副作用が気になる場合はプロピレングリコールが使用されていないものを選びましょう。
ミノキシジル内服薬の副作用
ミノキシジル内服薬の主な副作用は以下の通りです。
- 多毛症(全身の毛が濃くなる)
- むくみ
- 吐き気・嘔吐
- ふらつき、息切れ
- 血圧低下
など
主な副作用の一つとして多毛症を挙げましたが、本来ミノキシジルは血圧降下剤として開発されました。
臨床実験中に体毛が濃くなるという副作用が報告されたことから、薄毛治療薬として扱われるようになった経緯があります。体毛が濃くなるということはそれだけ髪の毛にも良い影響を与えている証拠でもある為、人体に危険を及ぼすような作用ではありません。
ですが、ミノキシジル内服薬には重篤な副作用もあるため、服用の際には細心の注意が必要です。
ミノキシジル内服薬の重篤な副作用
非常に稀なケースではありますが、ミノキシジル内服薬の服用で報告されている副作用です。
- うっ血性心不全
- 狭心症
- 心膜炎
- 心嚢液貯留およびタンポナーデ
- 水疱性類天疱瘡(アレルギー性)
- 中毒性表皮壊死症
- スティーブンス・ジョンソン症候群
- 血小板減少症および白血球減少症
など
重篤な副作用は上記の通りで、持病をお持ちの方や、過剰摂取などの誤った飲み方には注意が必要です。
それでは内服薬の服用で起こる副作用の、主な原因を確認してみましょう。
副作用の主な原因
ミノキシジル内服薬の副作用の主な原因は、血管拡張作用やそれに伴う血圧低下と考えられています。
塗布した箇所の血管だけに作用する外用薬とは異なり、内服薬は冠動脈にも作用してしまうことがあるため、循環器系の副作用があらわれやすいのが特徴です。
そのため、息切れを起こしたり吐き気を感じたりするといった副作用につながってしまいます。
冠動脈とは
- 心臓に血液を供給するための太い血管のことで、収縮することで血流を良くしています。
全身の血流が良くなることで血圧が下がり、それが原因で吐き気や嘔吐、ふらつきや息切れといった症状が起きると考えられています。
なお、頭皮に限らず発毛効果が全身に発揮されてしまう場合に起こるのが多毛症です。
また、強力な降圧薬でもあるミノキシジルは、年齢や体質などによっても副作用のリスクが大きく変化します。
服用に不安がある方は、事前に医師に相談するようにしましょう。
ミノキシジルで副作用の起こる確率
厚生労働省から報告されているデータではミノキシジル5%配合の外用薬の副作用の発現率は以下となっています。
- 8.82%(271例 / 3072例)
一方で内服薬については国内未承認薬となることから、副作用の明確な発生頻度については不明となっています。
さらに稀ではありますが重い副作用の可能性があるため注意が必要です。
何か異変を感じた場合はすぐに医師に相談しましょう。
ミノキシジルで初期脱毛は起こる?
ミノキシジルは外用薬・内服薬共に使用後に一時的に脱毛が増える初期脱毛が起こる可能性があります。
初期脱毛は、使用後10日~1カ月程度であらわれ、1~3カ月程度で治まることがほとんどです。
治療開始後に抜け毛が増加することから不安を感じる方も多いことでしょう。
ただ、初期脱毛に限っては、「抜け毛=悪化」ということにはなりません。
初期脱毛は休止期(抜ける時期)にある古い髪が、成長期に入った新しい髪の成長に伴って押し出されることで抜け毛が増えている状態です。
つまり効き目が出てきている証拠であり、発毛してきているサインともいえるので、ミノキシジルの使用は継続しましょう。
ミノキシジルの注意点
ミノキシジルを使用する上での注意点は以下の通りです。
- ミノキシジルを使用できない人
- 事前に医師に相談が必要な方
- 併用禁忌・注意
- 女性が使用する場合
それでは、詳しく確認していきましょう。
ミノキシジルを使用できない人
ミノキシジルは、健康状態により使用できない場合があります。
- 外用薬
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- 頭皮に、傷や湿疹、炎症(発赤)などがある場合
- 未成年者(20歳未満)
- 妊娠・授乳中の方
- 妊娠の予定がある方
- AGA以外の脱毛症の方
- 脱毛が急激であったり、髪が斑状に抜けていたりする方
- ミノキシジルによりアレルギー症状を起こしたことがある方
など
- 内服薬
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- 未成年者(20歳未満)
- 高齢者(65歳以上)
- 妊娠・授乳中の方
- 妊娠の予定がある方
- 血圧に異常がある方
- 心臓や肺、血管などの循環器系に既往や疾患、障害のある方
- 腎臓や肝臓に既往や疾患、障害のある方
- ミノキシジルによりアレルギー症状を起こしたことがある方
など
外用薬・内服薬共に、循環器系(心臓や肺)に不安がある場合には、事前に医師や薬剤師への相談が必要となります。
内服薬の場合、上記に該当しなくても健康面に不安があれば事前に医師に相談しましょう。
事前に医師に相談が必要な方
外用薬・内服薬共に以下に該当する方は事前に医師に相談が必要です。
- 過去に薬や化粧品などによりアレルギー症状を起こしたことがある方
- 高血圧の方、低血圧の方
- 心臓または腎臓に障害のある方
- むくみのある方
- 家族、兄弟姉妹に壮年性脱毛症の人がいない方
- 65歳以上の高齢の方
- 甲状腺機能障害(甲状腺機能低下症,甲状腺機能亢進症)の方
など
上記に該当しない場合でも、健康面で不安がある方や持病がある方は事前に医師へ相談しましょう。
内服薬については他の治療薬との相性があるため、常用薬があればその旨を医師に伝えるようにしてください。
併用禁忌・注意
ミノキシジル内服薬には、併用が禁止されている治療薬があります。
以下に該当する治療薬を使用している場合、重篤な副作用を引き起こす可能性があるため、ミノキシジル内服薬は使用できません。
- ED治療薬
- イブプロフェン
- イミグラン
- グアネチジン
など
内服薬の場合、「血圧に作用する治療薬」との併用には注意が必要です。
血圧が急激に下がることでめまいやふらつきなど、さまざまな副作用が起こる恐れがあります。
また、治療薬ではありませんがアルコールとの併用も同様の症状が出る可能性があるため禁止されています。
ただし、服用後7時間程度あければ、アルコールは摂取しても問題ありません。
外用薬に関しては、併用禁忌の報告は現在ありません。
ただし、他の育毛剤や軟膏、外用薬と併用するとミノキシジルの吸収に影響を及ぼす可能性があります。
もし治療のために頭皮に対して他の外用薬などを使用する場合には、ミノキシジル外用薬の使用は中止しましょう。
女性が使用する場合
ミノキシジルは、びまん性脱毛症(FAGA・休止期脱毛症)にも効果があることから、女性が使用することも可能です。
使用できる外用薬のミノキシジル含有量は1%までとされていますが、基本的には女性専用の外用薬を選びましょう。
内服薬も使用できますが、服用量については医師と相談して決めることが大切です。
男性に比べて女性の方が薬の影響を受けやすいため、男性と同じ用量を服用すると、副作用が強く出てしまう可能性があるので注意しましょう。
現在は女性専用の薄毛・抜け毛クリニックもあるため、気になる症状があれば1度診察を受けてみることをオススメします。
ミノキシジルの副作用を抑える方法は?
ミノキシジルの副作用のリスクをゼロにすることは出来ません。
しかし副作用を抑える方法はあるため、ここで紹介していきます。
- 用法・用量を守る
- 個人輸入で購入しない
- 【内服薬】飲み合わせに注意する
- 【外用薬】頭皮環境を清潔に保つ
これらを守ることは、副作用の発生を抑えることにつながります。
定期的に医師の診察を受けながら治療するのが理想的です。
ここからはそれぞれの項目を詳しく見ていきましょう。
用法・用量を守る
ミノキシジル外用薬・内服薬共に用法・用量を守りましょう。
- 外用薬
1日2回(朝・晩)、1回1mlを脱毛している頭皮に塗布 - 内服薬
1日1回、1錠(5mg)の服用
外用薬を塗布しすぎたり、内服薬を必要以上に服用したりすることは、副作用のリスクが高くなるため危険です。
内服薬を使用する場合は、低用量から開始することで副作用のリスクを抑えることに期待できます。
ミノキシジル内服薬は低用量から開始する
ミノキシジル内服薬は以下の3種類の用量が処方されます。
- 2.5mg
- 5mg
- 10mg
「5mg」を処方されるのが一般的ですが、個人差はあるものの「2.5mg」でも効果が得られるともいわれています。
そのため、低用量から服用を開始して治療経過や体調変化を医師に確認してもらいながら、必要であれば用量を上げていくようにしましょう。
個人輸入で購入しない
ミノキシジル外用薬・内服薬共に個人輸入で購入可能です。
個人輸入とは、海外から治療薬を取り寄せる方法のことです。
手続きを全て代行する個人輸入代行サイトがあるため、現在は身近な存在になりつつあります。
しかし、個人輸入で医薬品を購入する場合、「偽物」や「粗悪品」が届く可能性があるため危険です。
偽物や粗悪品を使用することで、予期せぬ副作用を起こすことや重い副作用に悩まされるなど健康被害の恐れもあります。
さらに、個人輸入で購入した医薬品で健康被害が起きたとしても自己責任となってしまうのです。
このように、個人輸入で医薬品を購入することはリスクが高いため当サイトでは推奨していません。
【内服薬】飲み合わせに注意する
ミノキシジル内服薬を服用するときは飲み合わせに注意が必要です。
基本的に水またはぬるま湯での服用が適していますが、お茶や清涼飲料水での服用も可能とされています。
しかし、アルコールやグレープフルーツジュースでの服用は避けましょう。
- アルコール
- グレープフルーツジュース(果肉も含む)
アルコールで服用すると、血圧が急激に下がることでめまいやふらつきなどの副作用が起こる可能性があるため危険です。
服用後7時間程度経てば、アルコールを摂取しても問題はないとされています。
ただし、アルコールの過剰摂取は髪の成長に悪影響を与える可能性があるため、適量を守るようにしましょう。
グレープフルーツジュースには、ミノキシジル内服薬の代謝を抑える物質(フラノクマリン)が含まれています。
そのため、血中のミノキシジル濃度が高まり副作用があらわれやすくと考えられています。
何か薬を併用する際などは、医師に事前に相談するようにしましょう。
【外用薬】頭皮環境を清潔に保つ
ミノキシジル外用薬を使用する場合、清潔な頭皮環境に塗布することが推奨されています。
皮脂やホコリなどの汚れ、整髪料が頭皮に残ったまま使用すると、吸収の妨げになることや、かゆみの原因になるため注意しましょう。
洗髪後、よく乾かした状態で塗布するようにしてください。
1日朝・晩の2回塗布しますが、夜にシャンプーをすれば朝はシャンプーをしなくても問題ありません。
副作用が起きた場合の対処法は?
副作用が起きた場合の対処法は以下の通りです。
- 使用を中止する
- 減薬する
- 医師に相談する
それでは、詳しく確認していきましょう。
使用を中止する
ミノキシジル外用薬・内服薬は、基本的に使用を中止すれば副作用は治まります。
その場合、AGAは進行性の脱毛症のため、薄毛は進行してしまうのが難点です。
しかし、副作用がつらい場合や長引く場合は治療薬が体に合っていない可能性も考えられます。
そのような状況では安全に治療を継続するのは困難なため、1度使用を中止することも1つの方法であることを覚えておいてください。
減薬する
ミノキシジル外用薬・内服薬共に減薬することで副作用が治まる可能性があります。
- 外用薬の場合:成分濃度の低い外用薬に切り替える
- 内服薬の場合:服用量を減らす
ただし、減薬が原因で満足な効果が得られない場合があります。
使用の中止や減薬する場合は、事前に医師に相談することが大切です。
医師に相談する
副作用が起こった場合の対処法として、1番の方法は医師への相談です。
医師に相談することで、副作用の原因特定や体質に合った別の治療法を提案してもらえます。
AGA治療薬はミノキシジルだけではありません。
薄毛へのアプローチは異なりますが、プロペシアやザガーロといったAGA治療薬もあります。
ミノキシジルが体質に合わない場合、治療薬を切り替える選択肢があることを覚えておきましょう。
通院する時間がない方や外出を控えたい方は、オンライン診療を活用するのも1つの手段です。
ミノキシジルで安全にAGAを改善しよう!
ミノキシジルは、AGAの改善に重要な役割を果たす医薬品成分です。
治療を行う以上、安全に使用しなくてはいけません。
そのために重要なのは、自分の体質や脱毛症の原因を特定することです。
自己判断でこれらを特定するのは困難なため、まずはAGAクリニックで診断を受けるようにしましょう。
医師の指導の下にミノキシジルを使用することで、安全かつ満足な改善効果につながります。
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この記事を書いた人
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オンライン編集部:タツ
【写真は治療開始前】31歳から薄毛になり、治療を始めてもうすぐ5年が経過するオンライン診療NAVI編集部のタツです。 これまで試してきた薄毛治療や薄毛の知識を発信するために、現在薄毛専門のライターとして執筆中! 市販の育毛剤やクリニックでもらう治療薬の違いなど、薄毛治療初心者にも分かりやすいように解説しています。 同じ悩みを持つ方々の力になれるよう有益な情報を伝えていければと思います!